Gravio HubKit マニュアル

Gravio デバイスマニュアル

目次

1. はじめに

Gravioは様々な種類のセンサーから情報を収集し、データを効率的に管理するためのシステムです。このマニュアルでは、Gravioを使ってセンサーデータを取得するための基本的な手順を説明します。

2. センサーデータ取得の全体フロー

Gravioでセンサーデータを取得するための全体的な流れは以下のとおりです:

  1. 物理デバイスの接続とペアリング - センサーデバイスをHubKitに物理的に接続し、必要に応じてペアリングを行います
  2. 論理的なデータ構造の設定 - エリア(物理的な場所)とレイヤー(センサーの種類)を定義します
  3. センサーの追加 - 作成したレイヤーに物理デバイスを関連付けます
  4. データ取得の開始 - 設定を有効化してデータの受信を開始します

3. デバイスの設定

3.1 Zigbeeデバイス

必要なハードウェア

Zigbee対応デバイスを使用するには、PCにZigbee USBレシーバーを接続する必要があります。

Zigbee USBレシーバー

Zigbee USBレシーバーがWindowsやMacで認識されない場合は、Silicon Labのサイトからドライバーをインストールする必要があります: - Windowsの場合:「CP210x Windows Drivers」をダウンロードしてインストール - Macの場合:「CP210x VCP Mac OSX Driver」をダウンロードしてインストール

Zigbeeデバイスの追加手順

  1. 「デバイス」タブで、使用するZigbeeセンサーの種類(DataKind)を選択して新しいエリアとレイヤーを追加します。

レイヤー選択ダイアログ

  1. Zigbee対応デバイスのセンサーデータを受信するには、まず、センサーをセンサーレシーバーとペアリングする必要があります。以下のボタンを押して、シリアルポートに接続されているセンサーレシーバーの設定画面を表示します。

デバイスタブボタン

  1. デバイス一覧画面が表示されます。Zigbee USBレシーバーが正しく接続されていることを確認してください。

デバイス一覧画面

Zigbeeデバイスのペアリング

  1. 「ペアリング」ボタンを押してレシーバーがペアリング待ちの状態にします。(ペアリングモードは1分間です。)

ペアリングモード画面

  1. ペアリングモード中にセンサー側のボタンを5秒程度押し続けるとセンサーがペアリングされて以下のように表示されます。

ペアリングされたデバイス

データ受信の有効化

「ペアリング時に利用可能なレイヤーがあれば自動で設定」をオンにしている場合、ペアリングしたデバイスタイプを設定しているレイヤーがある場合は、自動的にそのレイヤーにデバイスが登録されて設定は有効となります。

3.2 EnOceanデバイス

EnOcean必要なハードウェア

EnOcean専用USBレシーバーをPCに接続します。

EnOceanデバイスの追加手順

  1. センサーレシーバー設定画面を開きます

センサーレシーバー設定ボタン

  1. EnOcean対応デバイスのボタンを押します しばらくするとセンサーがシリアルポートに表示されます

EnOceanデバイス設定画面

3.3 Bluetoothデバイス

Bluetooth必要なハードウェア

PC内蔵のBluetooth機能またはBluetooth USBレシーバーを使用します。

Bluetoothデバイスの追加手順

  1. センサーレシーバー設定画面を開きます

センサーレシーバー設定ボタン

  1. Bluetoothの行の右矢印をクリックし、スキャンボタンを押します

スキャンモード

  1. スキャンモード中にセンサーが発見されると表示されます

スキャン完了

  1. 検出されたデバイス(この例ではOmron 2JCIE-BU01-sensor-1)が表示されています

デバイス設定完了

3.4 バーコードリーダー

Gravioではバーコードリーダー(USB COM ポートエミュレーション機能が利用できるバーコードリーダー)を1つのレイヤーとしてデータ入力できるデバイスとして利用できます。ここでは、BUSICOM製BC-NL2200Uを例として、バーコードリーダーの設定手順を説明します。

前提条件

バーコードリーダーがUSB COM ポートエミュレーション機能に設定されていることが必要です。BUSICOM社製のBC-NL1100U、BC-NL1100U Ⅱ、BC-NL2200U、BC-NL2200U Ⅱ、BC-NL3000U、BC-NL3000UⅢなどのモデルはUSB HID-KBW機能とUSB COM ポートエミュレーション機能を切り替えることができます。Gravioで使用する場合は、必ずUSB COM ポートエミュレーション機能に設定してください。

バーコードリーダーの接続確認

  1. バーコードリーダーの接続確認は、Windowsの場合、デバイスマネージャーで確認できます

デバイスマネージャーの画面

  1. ポート(COM & LPT)の下に「USB シリアル デバイス(COMx)」(例:COM5)が表示されていることを確認してください

バーコードリーダーの追加手順

  1. エリアとレイヤーの追加
  2. 「デバイス」で、使用するBarcode(DataKind)を選択して新しいエリアとレイヤーを追加します

レイヤーの追加画面

  1. バーコードリーダーの設定
  2. バーコードリーダーをUSBポートに接続します
  3. 画面右上にある丸で囲まれた「+」マークをクリックします

バーコードリーダーの追加後の画面

  1. デバイス一覧の確認
  2. デバイス一覧が表示されます
  3. BUSICOM BC-NL2200Uが表示されていることを確認してください

デバイス一覧画面

注意:BUSICOM BC-NL2200Uが表示されない場合には、バーコードリーダーが正しくUSBポートに接続されているか、USB COM ポートエミュレーション機能に設定されているかを確認して、HubKitを再起動してください。

  1. デバイスとレイヤーの紐づけ
  2. ウィンドウの右上にある丸で囲まれた「+」マークをクリックします
  3. レイヤーに接続したいバーコードリーダーを選択します

物理デバイスのバインド画面

  1. バーコードリーダーの有効化
  2. 設定が完了したら、スイッチをONにしてデータ受信を開始します

バーコードリーダーの有効化画面

注意事項

3.5 GPSデバイス

Gravioでは、GPSデバイス(COMポート接続で利用できるGPSデバイス)を1つのレイヤーとしてデータ入力できるデバイスとして利用できます。

GPSデバイスの接続確認

GPSデバイスの接続確認はWindows10の場合、デバイスマネージャーにCOMx(この場合COM5)が表示されているかを確認してください。

GPSデバイスの追加手順

ここでは、GPSデバイスはVKLSVAN製 VK172 G-MOUSE USBを使用してGPSのデータを取得する例として説明します。

  1. 「デバイス」で、使用するGPS(DataKind)を選択して新しいエリアとレイヤーを追加します。

GPSレイヤー追加

  1. GPSデータを受信するには、GPSデバイスをUSBポートに接続してから、以下のボタンを押してGPSデバイスの設定画面を表示します。

GPSデバイス設定ボタン

  1. デバイス一覧画面が表示されます。GPS Generic Typeが表示されていることを確認してください。

GPSデバイス一覧

注意:GPS Generic Typeが表示されない場合には、GPSデバイスが正しくUSBポートに接続されているかを確認して、HubKitを再起動してください。

GPS Generic Typeが表示されている場合には完了です。ダイアログを閉じてください。

  1. 次に、ウィンドウの右上にある丸で囲まれた「+」マークをクリックしてください。

デバイス追加ボタン

  1. レイヤーに接続したいGPSデバイスを選択して、設定します。

GPSデバイスのバインド

設定が終わったら、この画面を閉じてください。

  1. 以下のような画面になります。最後にこのGPSデバイスからデータを受信するために、スイッチをONにしてください。

GPSデバイスの有効化

以上でGPSデバイスから自動的にGPSデータの受信が開始されます。

GPSデータのフォーマット

レイヤー設定されたGPSから受信できるデータは下記の通りです。データビューアで確認することが出来ます。

データ 説明
Course デバイスの移動方位(北 0度から時計回りで359.9度までの数値)-1の場合は方位は無効
SpeedKm デバイスの移動速度(km/h)
SpeedKn デバイスの移動速度(knots)
LatitudeDeg 緯度(DEG形式)
LongitudeDeg 経度(DEG形式)
Latitude 緯度(DMM形式)
Longitude 経度(DMM形式)
LatitudeDir 緯度の方位(NまたはS)
LongitudeDir 経度の方位(EまたはW)

用語: - DEG形式: ddd.dddのデータ形式で、ddd.dddは度数で小数点で表記されます。Googleマップで使用されている表記です。 - DMM形式: dddmm.mmmmのデータ形式で、dddは度数、mm.mmmmは分数で、60進法ですので60分で1度となります。Googleマップで使用されている ddd.dddd度表記は、(度数 + 分数/60) で計算することが出来ます。

4. データ構造の設定

物理デバイスの接続が完了したら、次にGravio上で論理的なデータ構造を設定します。

4.1 エリアの作成

エリアは物理デバイスの設置場所を表す概念です。

  1. デバイスタブの右上にある「+」マークをクリックして新しいエリアを作成します
  2. エリアに名前をつけます(例:「3階西エリア」「セミナールーム」「入口エリア」など)
  3. 必要に応じて写真を追加することで識別しやすくなります

4.2 レイヤーの追加

エリアを作成した後、そのエリア内にレイヤーを追加します。

  1. エリア内で「+」をクリックしてレイヤーを追加します
  2. レイヤーに意味のある名前をつけます(例:「温度センサーレイヤー」「人感センサーレイヤー」など)
  3. このレイヤーで取得するデータの種類(DataKind)を選択します

4.3 センサーの追加

作成したレイヤーに、先ほど物理的に接続・ペアリングしたセンサーデバイスを追加します。

  1. センサーレシーバー設定画面の右上にある「+」マークをクリックします
  2. レイヤーに接続したいセンサーを選択して設定します
  3. 設定が完了したら、設定画面を閉じます

5. データ取得の開始と確認

センサーの設定が完了したら、データの受信を開始します。

  1. センサーレシーバーのスイッチをONにします
  2. これでセンサーからのデータ受信が自動的に開始されます
  3. Zigbeeの場合は1つのドングルで最大64個のデバイスを接続できます
  4. データビューアを使用して受信したデータを確認できます

6. トラブルシューティング

デバイスが正しく認識されない場合の対処法:

センサーデータが取得できない場合の対処法:

7. 付録

7.1 HubKitのデータディレクトリ

Hubはインストールされると設定ファイルの保存とデータを保存するためにデータディレクトリを作成します。

Windows10にインストールした場合

C:\ProgramData\HubKit

macOSにインストールした場合

/Library/Application Support/HubKit/

Linux/Raspberryにインストールした場合

Linux/RaspberryではDockerで動作しているため、以下のディレクトリがボリュームとしてマウントされています。

/home/gravio/hubkitrepo4/data

7.2 カメラ画像の保存先

ONVIFなどでカメラから取得した画像は以下のディレクトリにカメラデバイス別にディレクトリが作成され、日付ディレクトリごとに保存されます。

Windows10

C:\ProgramData\HubKit\mediadata

macOS

/Library/Application Support/HubKit/mediadata

Linux/Raspberry

Linux/RaspberryではDockerで動作しているため、Host側のディレクトリで見た場合は、以下のディレクトリがボリュームとしてマウントされています。

/home/gravio/hubkitrepo4/data/mediadata

Docker内部で見た時のディレクトリは、

/var/opt/hubkit/mediadata

のディレクトリとなります。